ヒトの毛の成長は次の3つの周期に分けられます。 まず、盛んに成長する成長期が4~7年、毛の成長が止まる退縮期が2~3週間、毛が脱落する休止期が数ヵ月あると言われています。 したがって頭髪は、成長期毛が85%、休止期毛が14%、退縮期毛が1%ぐらいで構成されています。 頭髪は1日に50~100本程度が生理的に脱落しますが、これ以上抜けることを【脱毛症】と言います。
脱毛症は、主に成長期毛の毛細血管が障害を受けたり、休止期毛に移行することで頭髪が抜け落ちるものですが、臨床形によって、先天性と後天性、限局性とびまん性に分類されます。 このなかで最も頻度の高いのが円形脱毛症です。
円形脱毛症とは、円形の境目がはっきりした脱毛斑が発生し、拡大していく症状を言い、誰もが発症する可能性を持っています。 そのほとんどが先行する病変がなく突然、円形ないし楕円形の脱毛巣を生じます。
重症例ではすべての頭髪が脱落するものから、体毛まで脱落してしまうものもあります。 活動期には病変の周囲で簡単に毛が抜け、抜けた毛は毛球部に行くにしたがって、細くなっているのが特徴です。
脱毛症の原因には精神的ストレスが深く関与していると言われますが、その機序ははっきりしていません。 ストレス以外には自己免疫疾患、甲状腺疾患、アトピー性皮膚炎などに合併して発症することもあります。
ストレスが原因の場合、8ヶ月〜1年程度で自然に治癒することが多いですが、ホルモン異常などの病気が隠れている可能性がありますので、経過によっては原因についての検査が必要な場合があります。
治療は、ステロイド外用や局注、紫外線療法、冷凍療法、局所免疫療法などがありますが、重症例にはステロイド内服を行うこともあります。 まずは皮膚科専門医を受診され、必要に応じて大学などの脱毛専門外来での治療をおすすめします。